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2016年11月19日 (土)

「落選中」の研究

先日、金子洋一前参議院議員が「選挙で落選すると議員はどうなってしまうのか(私の場合)」という一文をブロゴスに掲載されていた。http://blogos.com/article/198048/

http://blogos.com/article/198048/
落選生活4か月目にしての実感を書いていて、大変興味深く読んだ。
読みながら「いや〜、公認が出て、選挙区持ったほうが、実は日々の生活は大変になるのだ〜。真面目にやる人のみだが。政治活動と生活費を稼ぐ行為は金銭的には反比例になるんだよね〜」などと、金子さんに伝えたくなったりもした。

まあ、いずれにせよ、落選中の経済的な状況について、きっちり調査・研究したものってないのではないだろうか?
本来は政党がそうしたことをやって、人材をどう育成・維持していくのかを検討しなければならないと思うのだが。
ここらへんは、政治のありようとも関わって来る重要な側面だが、なかなか外に出難い部分でもある。

振り返れば、ワタクシの落選生活は10年に及ぶ(前夫4年+県議2年+衆議院4年)。
実に「人生の5分の1」は「落選中」(笑)
いや、正確には政治活動を自らはじめた25歳からだから、えっ?よもやの「人生の5分の2」だぜい!!
それでも生き抜いて来た自分を褒めたい(笑)おっと、その前に支えてくれた皆様(含・家族)に心からの感謝だが。

当たり前だが、落選生活を楽に続ける人はほとんどいない。

「無所属」が多く、闘い方が国政選挙とは違う、地方議員の落選の場合はまたちょっと別、ということも両方を経験して実感しているところだが、
冒頭にも書いたが、ひとつの誤解は、国政選挙の公認候補予定者となれば(経済的に)楽になる、ということだ。

はっきり言おう。
都市部の選挙区においては、党から支給される月々50万円では政治活動費は賄えない。
我が事務所で言うなれば、事務所費(家賃・光熱費・駐車場代)に人件費一人分で終了。
当然ながら、まっとうな活動をしようと思い、選挙における「定石」を打とうと思ったら、秘書ひとりだけでは限界がある。(365日・24時間闘える、ブラック状況なら可能かもだが)

都市部であれば、人件費はフルタイムひとり増えるごとに20万〜30万円プラス。(これももっと安いところはたくさんあるだろうが、雇用環境改善を訴えるものとして、それはしてはならぬと思っている)
ポスター代はA1サイズ1000枚で約20万円。全戸ポスティングをやろうと思ったら、17万枚刷って印刷費が40万円。ポスティング代は一枚3.3円、56万円。つまり一回100万円仕事である。
もちろん、ボランティアを募ったり、費用をかけないでやろうという努力もして、である。
が。印刷費をケチり、ポスターを安いところに頼んだら、あっという間に色あせて、裏貼り費用や張り替えメインテナンス費用が余計にかかったりと、痛い目をみながら、試行錯誤を繰り返している、というのが現状である。

一方で、対抗しなければならない現職議員は、公費で賄える秘書が3人いる。そもそも、それだけでも年間3000万円ぐらいの差が出る。
文書交通通信費も月額100万円。
つまりは現職と挑戦者では年間4000万円以上の活動費の差がある、ということだ。この数字は現職議員所属の党からの支給を考えずに、だ。実際にはもっともっと差があるだろう。

日々、先輩議員や後援者等から「もっと、人を雇って、ガンガン攻めろ!」と言われるが、ない袖は触れない。

が、シノゴノ泣き言を言っている暇はない。
党の「予調」が行なわれ、数字が悪ければ公認を外される可能性もあるから。となると、国政選挙の場合は、立候補できる可能性がグンと減る。
街宣をし、人に会い、会合に出て、ポスティングやポスターなども出来る限りがんばらなければならない。
自らが街宣カーを運転し、旗をたて、がんばる。今は、それでしのぐしかない。

一方で、党から支給される分を越えた、毎月50万〜100万円の赤字分を確保するために、選挙区内外を問わず、日々走り回らねばならない。やりたいことがあれば尚更、金集めが重要な活動となる。
政治献金やパーティ(ご協力をいただいているみなさま、本当にありがとうございます😭)のお願いをさせてもらうた、当然ながらそれでは追いつかず、自己資金を投入することになる。

ちなみに上記は生活費を一切考慮に入れていない分だ。
実際にはこの他に、家賃、食費、子どもたちの学費等々の「生活費」がかかって来る。
夫がいても子どもが5人いる生活。
政治活動費以外に、ワタクシが担当しなければならないのは大学の学費二人分を含めて、年間600万円あまりである。

しかーし。
いずれにせよ、政治活動(でも資金繰り)をしながら、別途月50万円稼ぐのは並大抵のことではない。

最もよくあるパターンは、落選後、与党・野党問わず許認可系の企業に「就職」する、もしくは「委託契約」系で「仕事」をするというもの。企業はその辺の事情を心得ている。もちろん、人材に関するセレクトは将来的な益を考えてのことであろうことは容易に想像できるが、勤務実績等々、つつかれても大丈夫なよう自衛している。
残念ながら?ワタクシにはそうしたお声はかからないが、

落選中の立場で言えば、そんなオファーがあれば、相当にありがたいと思って飛びつく人がいるのも、わからないではない。
ただ、(企業にとっての)将来性を見込まれた「使える人」は生き延びることができるが、果たしてそれで良いのかという心の引っかかりはどこかで残る。

そうした懸念のない生活が唯一できるのは、国政選挙を目指す地方議員だけであろう。
やること、一緒だから(笑)
2009年の衆議院選挙では心ゆくまで活動が出来たのは、ワタクシが県会議員であったからだと、実感している。
政務活動費での広報も、実質的にはアピール効果もあるわけで、一石二鳥部分が相当ある。

もちろん、自分で会社を経営したり、不動産収入があったり、親から引き継いだ莫大な資産がある、という場合は別だ。(にしても、資産を減らすことになってしまうのだろうが)

日本の政治業界は、新規参入が難しいとされてきたが、55年体制の崩壊以降はそうでもなくなった・・ように見えても、結局は2世、3世オンパレードという状況が変わらないのは、「落選中」を支えるシステムがないからなのだと思う。

薬局でアルバイトをし、化粧品の新作発表会やエステの勉強をしたり、
家庭教師や塾で教えたり、派遣で事務をやったり、
思えばありとあらゆることをやった「落選中」。

結局、時間と場所を選ばない「モノカキ」となって、
ナントカしのいでいるが、
最近、ついつい活動を文字数に換算するクセがついてしまった。

おっと・・こんな無料の文章書いている暇ないんだがね(笑)

「『落選中』の研究」なるノンフィクションでも書いたら、開高健賞とれるかなあ???

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