« 「赤道直下の情熱」を引き継ぎます〜区割り案発表で1万6417人の皆様があらたに東京4区に | トップページ | 「プレイ」としての「教育勅語」③そもそもは「夫婦相和シ」ではなかった  »

2017年4月22日 (土)

政治家と「重婚」① 中川前政務官の「重婚ウエディング」〜「戸籍に妻ふたり」が可能という現実

中川前政務官の「重婚ウェディング」。
日本における一夫一妻制の婚姻制度を支える戸籍法・戸籍実務には大きなバグがあり、実質上重婚が可能となっているということを、以前にも「ダブルマリッジ」(橘玲著・文藝春秋)を紹介しながら指摘したが、
よもや、国会議員、政務官を務める人がこんなにも分かりやすい例を提示してくれるとは思わなんだ。
まさに「事実は小説より奇なり」である。

日本は一夫一妻制。
夫ひとりに妻ひとり、が原則で、重婚などできやしないと思っている人が多数であろうと思う。
が。
実は夫ひとりに妻ふたり、妻ひとりに夫複数、ということが、現実に、フツーにあり得ている。
なぜそれが可能かというと、「外国法に則り婚姻」と抜け道があるからである。

外国法に則り正式な婚姻をした場合、
たとえ既に日本法で婚姻し配偶者がいたとしても、
婚姻届は「報告的届出」なために、日本の役所はそれを拒むことができない。
それがふたり目の妻になろうとも、三人目の夫になろうとも
とりあえず「戸籍に記載」という流れになる。

「ダブルマリッジ」では婚姻相手が外国籍なので、婚姻の欄に日本人妻と並んで外国籍の妻の名前と国籍が注記として記載されていることなどに、同時者や家族が驚く場面がでてくるが、

今回のように日本人同士の場合は筆頭者に続いて、妻ふたりの欄が設けられるのである。

刑法には重婚罪が設けられているものの、
民法では「配偶者のある者は、重ねて婚姻できない」として当事者がその取り消しを請求できると定めているだけ。
つまりは、法律上、行政が重婚を解消できる手続きは定められていないので、当事者が請求するまでは何ら手出しができないのである。

さて、中川前政務官は挙式し、「結婚証明書」にサインまでしているが、日本の役所に届出は行なっていない。
さて、今からでも婚姻届を提出し、元愛人とされる女性が妻として戸籍に記載されることは可能なのだろうか。

結論から言うと「可能」であろう。
戸籍法41条には「外国に在る日本人が、その国の方式に従つて、届出事件に関する証書を作らせたときは、三箇月以内にその国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその証書の謄本を提出しなければならない」とある。つまりは届出をするのは義務。
中川前政務官の「結婚証明書」が正式なものか否かは週刊誌に記載された写真のみでは分からないが、
教会での挙式には基本的にハワイ州保険省(Departmet of Health)が出す「結婚許可証」が必要で、その手続きに則って挙式まで行なっていることを前提とした場合、
この時発行された「結婚証明書」を持って、3か月以内に婚姻届を大使館他に提出しなければならなかった。
つまりは、中川前政務官はその義務を怠っていたということにもなり、

実は今からでも婚姻届提出は可能で、結婚証明書の日付に遡り、彼らは正式な夫婦となることも可能である。
重ねていうが、既に戸籍上も婚姻継続中の妻がいたとしても、だ。

中川氏のリバースパターン?としては、
以前、歌手の浜崎あゆみ氏が外国籍の人と婚姻・離婚となったときに、外国では届出を出しているが、日本ではしていないので、婚姻または離婚したとしても戸籍上はずっと未婚のまま、何の移動もない、ということが話題になったが、
となると、日本法では未婚だから、別な人と日本法に則り婚姻すること、つまりは重婚することは十分に可能なのだ。

さて、こうして制度の狭間を活用?した重婚だが、行政が把握していても、前述通り通常は放置のままだ。
刑法第189条で「配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、二年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする」との罰則があっても、実際には適用されないままとなっているケースがほとんどであろう。

戸籍・国籍を専門とするものとして、常日頃、制度の根幹を揺るがす大きな問題だと指摘をしつつも、周囲の反応並びに危機感は薄く、忸怩たる思いだったのだが、
中川前政務官が身を挺して?自ら「法のバグ」を示してくれたと言う意味では「ナイスアシスト!」と感謝したいぐらいである。

ま、これを「愛と承認欲求」他の観点から見ると、また違った風景が開けてくるのであるが。

それは、②で。

« 「赤道直下の情熱」を引き継ぎます〜区割り案発表で1万6417人の皆様があらたに東京4区に | トップページ | 「プレイ」としての「教育勅語」③そもそもは「夫婦相和シ」ではなかった  »