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2017年5月 8日 (月)

NHK・ETV特集「暮らしと憲法」第1回「男女平等は実現したのか」

NHKのETV特集「暮らしと憲法」第1回「男女平等は実現したのか」が放映され、反響が続々届いている。

番組については、弁護士の山下敏雅先生が詳しく書いて下さっています。

山下先生は性同一性障害の夫婦の間の子どもが夫婦の嫡出子となるか否かを巡って、最高裁で逆転決定を得た時の弁護団長ですが、

今回のETV特集で登場する30代後半の無戸籍兄弟の弁護も担当して下さり、出口が見えず、途方に暮れていた兄弟を救って下さいました。

母親を支えてくださった阿部みどり弁護士、高取由弥子弁護士、宅見誠弁護士ともども、社会正義の実現のために闘ってくださった先生方の姿を思い浮かべながら、画面に見入りました。

以下、山下先生のFBからの転載です。

 この番組に出てくる,つい最近まで無戸籍だった30代男性は,その弟も無戸籍でした。この兄弟とお母さんとを, 井戸 まさえ (Masae Ido) さんが支え,私たち弁護士に繋いでくださって,戸籍ができるよう家裁の手続きを取りました(弁護団は,高取由弥子弁護士,宅見誠弁護士,阿部みどり弁護士)。

 夫のDVからなんとか逃れ,離婚の手続きすら取ることができなかった女性。その女性が,その後他の男性との間で子をもうけても,「妻が婚姻中に懐胎した子は,自動的に夫の子と推定される。それを否認できるのは夫だけ」という強力な嫡出推定(民法772条)が壁になります。ようやく離れた前夫と嫡出否認で再び関わなければならないがどうしてもできない女性は,出生届を出すことができず,その結果,子がずっと無戸籍のままとなってしまうのです。

 この番組の中で,最近まで無戸籍だった30代男性は,次のように語ります。

(ナレーション:戸籍がないと知ったのは高校1年生のとき。バイクの免許に必要な住民票を取りに市役所に行ったところ,戸籍に名前がないと告げられました)
 「大変なことっていうか,もう,全てなんですよね。人として,大人として,全てのことができなくて。就職もままならないし。身分証明書がないので。免許証がなくても住民票くらいあるでしょう,保険証くらいあるでしょう。全てがないので。そんなわけわかんないのをうちでは雇えないよ,と言われたのが,とても悔しくて。」

 「やっと戸籍が取れたんですよ。」
(ナレーション:トシさんは,今年,弁護士のサポートを受け,実の父親とのDNA鑑定を行うなどして,戸籍を手にしました)
(届出日が平成28年12月27日,記録日が平成29年1月26日の戸籍を見ながら)
 「記録を見たら今年の1月ですか。生まれたての赤ちゃんみたいですよね(笑)。もらってみて,こんな紙切れ一枚のせいで,どれ一つ何もできなかったのも事実なので…。日本国民が国民としてまっとうに生きていく,それが根底にあるならば,なんでこういうことになるのかな。日本国民以前に,人として,まっとうに生きてこれなかったので,この法律って何なの,みたいな…。」

 先日,家族みんなと弁護団とでお祝いの場をもったとき,心から本当によかったという思いとともに,人としての存在を無視し放置する社会制度への怒りを,改めて実感しました。

 最高裁で逆転勝訴した性同一性障害のお父さん( 前田良 さん)とその妻とが,第三者精子提供の人工授精でもうけた子は,嫡出推定の規定どおりにいけば前田さんが父となるはずです。しかし役所は,こちらのケースでは,嫡出推定を及ぼさないという対応をしました。前田さんの子は当初2年間無戸籍のままで,その後は父の欄が空白の戸籍を役所に勝手に作られました。それが,最高裁で正しい判断がなされ,前田さんが父として認められたのです。この前田さん一家をずっと支えたのも,井戸まさえさんでした。

 戦後急いで改正した民法の家族に関する規定は,憲法の理念に,未だにマッチしていない部分が残っています。そのために苦しい人生を送っている人々が現在もなお実際に存在しているのに,民法のほうを憲法の理念に合わせて正しく改めることを国会は怠り,むしろ,憲法の家族に関する規定を後退させようとする動きがあります。私はそれをとても懸念しています。

 NHKのこの番組は,216円で視聴することができますので,ぜひご覧ください。
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2017078509SC000/

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