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2017年11月29日 (水)

熊本市議会「子連れ出席」に関する補助線①「母子分離」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171129-00000001-maiall-soci

熊本市議の本会議への子連れ出席を巡る議論が盛んになる中で、
この問題が問いかける問題には複数の論点があるが、混同してこんがらがっている感もあるので、交通整理が必要であるとも思っている。

交通整理の補助線の一本目は「母子分離」である。
今回については「待機児童対策」等よりも、「母子分離」回避の新たな選択肢を広げたいということのほうが強かったのだな、ということが、インタビューを読んで良くわかった。
つまり「預けられない問題」とはまた違った視点での問題提起なのだ。

前のブログでも指摘したが、熊本市の保育所を空き状況を確認してみると0歳児には空きがある。ベビーシッターを捜すのが大変、との事情があるのは理解するが、経験則上、こうした場合は、まず保育園入園、もしくは保育園の一時預かりを利用しよう思うだろう。(そこには言及がないのでわからないが、入園申し込み等はやっていないのだろうか?もしやっていて預かってもらえない状況があるなら問題だ)

それはそれで議論されるべき論点だと思う。
今回の議会開会の予定は15分程度というのであれば、まあ一緒に過ごせない訳ではないな、と考えたのも理解できなくもない。

ただ、通常、議員の仕事とて、15分では済まないものばかり。
責任を持って仕事を遂行するにあたっては、別な方法も考えなくてはならなくなる。

「私が目指すのはさまざまな子育てや働き方のスタイルを認め合うこと。その一つとして仕事によって母子が分離されない姿。一緒にいるのは赤ちゃんにも母親にも大切。赤ちゃんの発達にも必要で、大事な部分でもある。産休後は「預けなければいけない」ではなく、母子を分離しない働き方もできるようにしてほしい。」(緒方議員・毎日新聞)

「母子を分離しない働き方」

それを選ぶ人々がいることを私は尊重したいし、その要望をできる限りかなえ選択肢を広げることは、まさに政治の仕事であると思う。(この件については近々田澤百利さんと政策提言を行ないます)

ただ、一方で、子どもを誰かに預けることなく、仕事と子育ての両方を職場で、もしくは家庭で行なうことは女性にとっては過酷な二重労働になる可能性があることをよくよく考えなければならない。
過去の先人たちの苦い経験も含めて託児所や保育園はあるという側面を知っておいてはもらいたい。

「母子分離」というとおどろおどろしいが、それは決して悪い側面ばかりではない。
「働いている母親は、自分が一日中子どものそばについていられないことを、子どもに済まなく思うものだから、(保育園が)子どもに、家にいる母親がしている以上の「理想育児」を期待する。保育園の育児のほんのわずかの「不行届き」も、母親は非常に重大に考える。」(「育児の百科」松田道雄 岩波書店 P214)という傾向もあって、保育園に預けることに関しては、経験者以外からの「可哀想」等も含めて、誤解や偏見もあることも事実だ。

しかし、考えてみれば、この国で出生から子と母がつねに密着して育児を行なって来たのは戦後のことで、それ以前は祖父母や兄弟姉妹、ご近所等々、子育てには常に他者が介在してきていた、つまり、それが短時間にせよ、ある意味「母子分離育児」は日常であったともいえるのだ。

なので、ワタクシはあまり「母子分離」にこだわりをもたなくてもよいと思っている。
父親の育児参加が当たり前になって、父子密着の時間が増えたからといって「母子分離」とは言わないだろう。一方で「父子分離」はスルーで問題にもならないってのもね。

さて、今回の「子連れ出席」が父親だったら、世論はどう反応しただろうかなとも思う。意外に受け入れたかもしれないと思うのはワタクシだけだろうか。
逆に言うと、それだけ母親への一方的な育児プレッシャーも強いということなのだろう。

何度も繰り返すが、この問題で一番後にされるのが子ども、である。
子どもは当然ながら「ママがいい」。
・・と皆さん、思っているかもだが、実はワタクシは1年間、3時間おきに保育園に通って母乳育児をしながら、そこで鑑みた多くの子どもたちの表情や行動を追って、「そうでもないんだな」ということに気がついた(笑)
それなりに、みんなご機嫌でやっている。
なぜか。「ママが一番」じゃないのか。
いや、もちろんそれはそうなんだけど、そこで気がついたのは、
子どもには親だけでなく、それ以外の信頼できる大人も必要である、ということだ。
それが社会と出会う、という第一歩なのだ。
乳児とてそうであることを、ワタクシは「天使組」(ちとせ保育園0歳児)の部屋でつくづくと学んだのである。

ひとみしりの時期や、イヤイヤ時期。子どもの月例ごとの育ちに合わせた成長がある。
母子密着で職場にいるよりも、時としては分離して保育園にいた方が良い場合もあることを親は忘れてはならぬ。
その可能性を排除すると、結果的に子どもにとってできうる限りでの最適環境を与えることができなくなるからだ。
少なくとも、本会議場は母と一緒としても子育ての最適環境ではない。15分以上は。

緒方議員については、個人を存じ上げないので、報道ベースとなるが、妊娠時、出産後も体調が悪く、議会には出席しておらず、今回から復帰ということだったらしい。
産後体調が悪いというのはどれほどつらいことだろう。お見舞い申し上げたい。
今後の議会も採決には出る、と記事では書いているが、他に関してはは出席が叶わないかもしれないという残念な思いや焦りもあるだろう。責任感を持った議員ならば当然である。

体調が悪ければ、本当はお子さんの面倒をしっかりみてくれる、安心できる育児のパートナーを見つけられたら、ゆっくり休めて回復も早くなるだろうと思う。しかし、職業人として十分に職務が果たせていないと思うと、逆に子育てだけでもしっかりやらねばと思ってしまうというのはままあることだ。
特に母乳育児をしている場合はその思いも強くなる。
前述の松田道雄氏の言葉ではないが、子どもと常に一緒にいないと「母子分離」が起って、子どもの育ちに影響があるのではないかと不安に思うこともあろう。

そうした「母子分離」で悩んでいるお母さんたちには、ぜひ「こんなときお母さんはどうしたらよいか」(松田道雄著 暮しの手帖社)も読んでほしい。

今回の疑問に対して、丁寧に答えている。

次の補助線は「議員として」で引いてみよう。→つづく

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