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2018年4月10日 (火)

芦屋市役所で「戸籍事務の民間委託」を実感する

「おはようございます。ただいまより窓口業務を開始いた

します」
朝9時きっかり。
整然と並んだ職員たちは声を揃えてそう言っておじぎをす

る。
まるで百貨店の開店時のようだが、ここは芦屋市役所市民課の窓口である。
挨拶が終わると、一斉にそれぞれが動き出す。
音のない世界から、音のある世界へ。
よくできた舞台のようでもあった。


この潮目の時間を体験できたのは、
並ばなくてもすぐに戸籍の写しを発効してもらえるようにと8時50分に到着して業務開始を待っていたからだ。
「ずいぶん、変わったな〜」
一緒に行った夫もびっくりである。なにせ芦屋市役所は私たちにとっては常に「闘いの場」。子どもの戸籍取得を巡って、古参の職員とバトルした現場でもある。そのころはこんな「笑顔のサービス」?はなかった。

「当事者たちの関係を証明するためにはこれとこれが必要だから、お願いします
戸籍の写しの申請書を2枚持っていったワタクシに、
「これ一枚で大丈夫です」と芦屋市役所の職員。
ん?そうなのか??と思いながらも、待つこと10分。
番号が呼ばれて行ってみると、
「あの、これだけでいいでしょうか?」(by芦屋市役所
示されたのは、それだけでは用を足さないモノ。
「いや、ダメです」
・・戸惑う職員。
「では、もう一通・・」
次の予定の時刻が迫る。
戸籍の写しを取るなんてそんなに時間がかかることじゃない。
「だから最初に言ったじゃないですか。その通りやって下さい」
おいおい、プロだろう。ちょっとおかしくね??・・という言葉を飲み込みつつ、ちょっと強い調子で言ってしまった。
で、ふと、その職員のネームプレートを見ると・・・
「(株)パソナ」
そうだ、ずいぶん前に、芦屋市役所は戸籍窓口業務をパソナに委託した、という記事を読んだ気もする。

なるほど。
イレギュラーが来たら、彼らでは対応きかないよね。でも戸籍業務はイレギュラーがレギュラーだから、知見の積み重ねが必須の職場である。
専門性が必要だからこそ、ちょっと前までは役所の中でも「戸籍係」は専門職として採用があったぐらいだ。

「たつの市役所とは大違いだな」(by夫)
先般、義父の戸籍を取りにたつの市役所に行ったのだが、窓口にはベテランらしき職員が数人のみ。声を揃えて挨拶とは別の世界が広がっていたが、こちらの意図をすばやくくみ取り、適切な処理を短時間で行なう仕事ぶりは鮮やかで、まさにプロ中のプロだった。
しかも、一人ではやらずに、もう一人がチェックを行なっている。
知識不足やヒューマンエラーで間違いが起きないようになのだろうな、と、夫もワタクシも密かに感動していたのだった。
窓口で対応にあたっていたのは芦屋市の3分の1ぐらいか。

業務委託をして、表面的な市役所改革はそう難しいことではないのだろう。
コスト削減の視点も大事である。
しかし、根本的なところ、仕事をさばく上での基礎知識やスキルが十分でなくと、しわ寄せは市民が被る。
もちろんバックでは市役所職員が控えているのであろうが、それでこの状況が現実なのだ。

戸籍事務の民間委託は2008年1月の内閣府通知で流れができ、拡大していくものの、現場での不備・不足の実態が明らかになり、2015年3月、法務省は「事務連絡」を出して、【委託できない戸籍事務の例】等を明らかにした。

たとえば、写真付の身分証明書などで本人確認できない際の聴聞や作成された証明書が適正かの確認、また交付できるかの最終確認はできない。
しかし、現場では今でのその際はあいまいなのではないだろうかと思う。
そして、やはり決定的なのは、業務に対する知識の不足なのである。

求人情報を見る。
一般事務となんらかわらない内容である。
時給1100円に対して、業者に払われる業務委託費は一人あたりいくらなのだろうか。
目先のコストカットに捕われるあまりに、本質を見失ってはならない。

結局、自分の戸籍を取るために、5分で終わるところが30分以上かかり、次の予定が遅れ、そのまた次の次の予定が遅れ、とほほの一日を過ごすことになった。
待たされるだけならいいのだが、もっと根本的に重要なミスが起ってもワタクシは驚かないし、その可能性は十分あるなと、出てきた戸籍をみながら思う。
そもそも要求した物とは違ったのである。
でもこれでもワタクシの必要とした情報はとれないわけでもないし、何より訂正するとまた時間がかかりそうなのでスルーしたが、
こうした指摘が入ると対応は市役所職員になるのであろうから、逆に言うとスキルアップの機会もないということでもある。
声を揃えての挨拶とのギャップを感じながら、ロールモデル研修の必要性をつくづく感じる。
難題を持ってくる市民役で、いつでも協力しまっせ(笑)

ん?この場合、研修を行なう主体はパソナ?市役所?法務省??

パソナは与野党問わず、落選議員の受け入れ勤務先としても有名なのだが、彼らを窓口に派遣するのもありじゃないか?時給1100円で、ね。

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