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2018年10月27日 (土)

「対話」は生まれない 松浦氏の小論

「WiLL 2018年12月号」の松浦大悟氏の小論。

民法の成り立ちに対する不見識に驚く。
民法は多様な家族のありようを十分に体現するものではない。
日本の特異な養子制度に関しても、成人養子制度の有り様も含めて、基本を押さえての発言なのだろうか?

稲田氏の雑誌への寄稿を引用しているが(いつのどの論文なのか、出典は付記すべき)、稲田氏の国会質問の議事録や著書を読めば、国籍法改正の際にDNAの導入に反対したのはた「法律婚」を守るという立場からだとわかるだろう。
だからこそ、真の父親が明らかであっても、無戸籍者・無戸籍児には一貫して冷淡なのだ。
「目の前のかわいそうな子を救うべきだという美しいスローガンの陰に、日本の家族を崩壊させる危険が潜んでいるということに気がつかなければなりません」(『私は日本を守りたい』PHP研究所)
等々、驚きの記述が満載のこの著作を松浦氏にはじっくり読んでいただきたい。

ちなみに稲田氏がLGBTに関しての発言をするようになったのは、(今となっては信じ難いが)彼女が「ポスト安倍」として名前が挙がり始めた2015年9月、訪米先ワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」で講演で言及して以降である。
稲田氏がそれまでの言動とはあきらかに重ならないことを、なぜ、アメリカで?・・には、もちろん理由があったのだ。

性同一性障害で性別変更した男性が父となるか否かは最高裁判決だから安倍総理の功績じゃないし、もっと言えばこの件に関して法務省がどんだけ抵抗したかは・・当事者と一緒に何度も交渉したワタクシにとっては許し難い誤解である。
ああ、あのやり取りを思い出す度に涙が出る。
最高裁判断が出たから運用を代えただけで、法律はどこも変わっていない。
つまり政治の側は最高裁の判断を受けて当事者が望まない形で職権で作られた子の戸籍の訂正を指示した、ということだけだ。

読者はこうした過程や詳細な事情を知らぬ人がほとんどだろう。
紙に落とされた文章は、それなりのオーソライズされたものと思っている人が大半だろう。お金を払って買う雑誌等に書かれた文章の価値はそこにある。
だからこそ書き手は何かを論じるにはその問題に対しての最低限の知識とそれに対する確認が必要である。
少なくともそれを得る努力はしなければならない。
表面だけなぞり、無知を背景に都合の良いように解釈された言論は、さらに誤解を生みながら一人歩きをする可能性があるからだ。

これでは「対話」は生まれるはずもない。

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